【6.2ネタバレ】天星郷、魔界より地獄だった
19世紀のフランス革命以降「国民国家」という概念が広がりをみせる。国王のものではなく、国は民のものであるという認識ができたのだ。 一方で「1民族1国家」という考えもまた存在する。宗教の違いによる内戦や、人種間の争いをみれば、このような概念がいともたやすく人を駆り立てることは、うなずかざるを得ない現実だ。 「民族」の定義は複数の要素からなる、とされる。すなわち言語・宗教・土地・生活様式・心理的特徴……である。異なる民族の間には争いが起こるのが常であり、そして、これからも起こるであろう未来であもる。 いわんや架空の世界においてをや。 グランゼドーラ王国が興る以前、この地にはゼドラ族とレビュール族という2つの部族が存在していた。 ゼドラ族に生を受けた双子、アシュレイとレオーネ。巫女の予言により、レオーネはレビュール族に養子として出される。母親は嘆き悲しむが、神の言葉を伝える巫女に逆らえるはずもなかった。 剣聖ガーニハンは、双子に剣術を教えるための師範だった。成長したアシュレイとレオーネは、ガーニハンに勝利するまでの実力を身につける。また、次代の巫女ダフィアが、来るべき大魔王との戦いに備え、彼らに加わる。 成長したアシュレイとレオーネは二人の勇者として、最初の大魔王ゴダとの戦いに挑む。既に領土の大半を占領された今となっては、背水の陣による決戦に挑むしかなかった。 大魔王ゴダは、ガーニハンの犠牲を伴いながらも討ち果たされる。しかし、レオーネは呪いをかけられ石像と化してしまう。 ゼドラ族とレビュール族は合流し、新たにグランゼドーラ王国として一つになる。しかしながら、国名にレビュールの名がつかず、養子として育ったレオーネは石像のままであり、国内のレビュール族たちの不満は蓄積していく。 勇者が大魔王によって石像になってしまった、という汚名を着せるわけにはいかない。レオーネは勇者から「盟友」という副次的な立場に下げられる。それもまた、レビュール族の反感を買う一助となるのだった。 レビュール族のトランブル将軍は、レオーネの石像を強奪した上で反乱を起こす。アシュレイは反乱分子を討伐し、トランブルと戦う。死の間際にトランブルが暴露したのは、今やアシュレイの妻でグランゼドーラの王妃となっているダフィアが手引きをした、という事実であった。 アシュレイはダフィアを問い詰める。先代の巫女の頃から計...