ボクたちが人生よりゲームを選んだ理由

AUTOMATONさんの懸賞に当たり、steamで公開されている中国のインディーズゲーム開発者を追うドキュメンタリー「独行」Indie Game in Chinaをいただきました。ありがとうございます。
steamクライアントの「ライブラリ→動画→(動画タイトル選択)→視聴」で見られる。ゲームをプレイする手順とは、ちょっと違った。

中国でインディーゲームを開発している、それぞれ全く違った個性を持つ若者たちを追っている。
自分のゲームにこだわる者……
仲間と集い、インディーゲームに賭ける者……
沢山売れても、人生が順風満帆というわけではない。そんな人間など、一時の幻想だと看破するかのように。

スクショを撮ってはいなかったが、もう一人の開発者も登場する。彼はsteamで「HARDCORE MECHA」をリリースした人物で、朝から晩まで、時には次の日になるまで働いている。チームのリーダー的人物で、開発を管理し、時には泥もかぶる。

彼らを動かしているものは何なのだろう?
どの親も考えることは同じである。
この親も。ましてや、日本より学歴や階級に厳しいと思われる中国である。

何が、彼らをそうさせるのだ?
お祝いとして贈られたマリオのケーキ。
最初、ファミコンを見ても、あたかも未開の地の人物が文明に触れたようで、何をやっているのかわからなかったとのこと。

影響は「マリオ」だけとどまらない。
「キャサリン」「英雄伝説」「満月をさがして」
「ライトエディション」と呼んでいたのは、ゲームの海賊版。
この開発者が過去に手にしたのは、それとは知らずに買った18禁のゲームだった。

ドキュメンタリーなので、人物が苦闘するのは当然のことだ。しかしながら、その一方でインディーゲームにより一攫千金に成功した人物も登場する。
彼は白亜の屋敷に住み、結婚し、犬を飼い、こうしてインタビューに答え、棚にはプラモデルを飾り、そして、以前一緒にゲームを開発していた者の相談に乗ったりしている。

彼が作ったのは、今は亡きAdobe Flashのゲームだった。
懐かしいフラッシュゲームである。

さらに、ゲーム実況者を喜ばせたゲームもまた作っていた。
「駆逐してやる」とは進撃の巨人に登場する人物の言だが、悪貨は良貨を……なのか。

ドキュメンタリーであり、製作者の手が入っているのは否定しようがない。とはいえ、一面をあぶり出しているのも真実だろう。

彼らは、やっと一つのゲームの完成にこぎつける。
正式版をsteamでリリース……。
ケーキで祝う。この後、ケーキは放置され、数日後に生ゴミとして処分されていた。忙しく、オフィスを掃除する暇もないのか……。

絵画、文学、マンガ、ゲーム。時代や人は変われど、探求する人間が存在し、彼らは自分の望み通りの作品ができないことに呻吟し、貧乏を味わっている。同年代のメインストリームから外れていると自覚し、何より……周囲に理解されないという苦しみを味わっている。ある意味で、普遍的である。

ネットが発達し、個人が発信できる世の中になったとしても、それは変わらない。いやむしろ、ゲームという土俵である以上、激化したとはいえないだろうか。
中国のゲーム賞。「LOST CASTLE」「CODE:HARDCORE(HARDCORE MECHA)」「キャンドルちゃん(左下)」「返校 Detention」。このうち、最優秀は「キャンドルちゃん」で、ストーリー賞は「返校 Detention」だった。

「キャンドルちゃん」はロウソクが主人公で、10秒しか火をつけていられない。暗闇の中、少しずつ点けたり消したりをしながら道を確認し、進んでいくゲームだ。
数日前、小売店とAmazonの関係について論じた文章を読んだ。Amazonがやっているのは、関連した商品を次々に見せ、買わせ、素早く配送するという「数学」で、商店ではないという内容だった。

ゲームをプレイする人間である以上、できることはないかと自問した。楽しんで遊ぶのはもちろん、blogにしたり、当たり前ではあるがきちんと対価を払うことも一つだろう。

ドキュメンタリー「独行」の最後は、芸術家肌の開発者(「もう破産しています」の人)が完成させたゲームの映像で終わっている。レースゲームであるが、沢山の中から1位を目指すのではなく、1対1の勝負である。
「FR-LEGEND」

ゲーム中の観客席には、Twitterか微博の書き込みが表示され「がんばれ!」という意味の言葉が並んでいた。

最後に、FR-LEGENDを作った陳静さんが、初期に作ったゲームを紹介して終わろうと思います。レースゲームではなく、音ゲーです。
スクーターに乗って進む。左右の並木が高いと高音、低いと低音。雲はドラムのようなリズム。
「独行 Indie Games in China」

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