オープンワールド=ハードボイルド論

トリックにこらなくて、どうしてミステリか! という声を聞きます。そこから出てきたのが新本格とか、孤島に閉じ込められた系ではないでしょうか。誰が書いたか失念しましたが、孤島系で、登場人物の全員がミステリ作家のあだ名を名乗るやつがあったかと。

んで、フィリップ・マーロウ(さらばいとしき女よ)みたいなハードボイルド探偵に重要なのは、トリックの上手さよりも雰囲気です。現在、オープンワールドの「Mafia III」をプレイしながら、南部アメリカが随所に表現されている点から、このタイトルを思いつきました。

ベトナム帰還兵の黒人リンカーン・クレイは、イタリアン・マフィアのマルカーノ・ファミリーに現金強奪を持ちかけられる。クレイは黒人ファミリーと協力し銀行を襲撃するが、イタリアン・マフィアの裏切りにより仲間は全滅し、本人も重傷を負う。辛くも生き延びたクレイは、ニューボルドー(ニューオリンズがモデル)を牛耳るファミリーに復讐を誓うのだった。

舞台は1968年のアメリカであり、至るところに黒人差別がある。南部という地域も関係しているのだろう。
あからさまなサザンクロス
クレイも激おこ
主役リンカーン・クレイ
右こめかみに傷跡

ゲームはイタ公を襲い、札束を盗んだり、ブツを破壊したりすることによってドルによる「損害」を与えていき、一定額に達すると、業を煮やして出てきたファミリーと対決できる、というシステムである。
左上に注目
あと$6950の損害を与えよう

気づかれずに近づければ、敵は一撃で無力化できる。クレイは、たとえば売春宿に居合わせた、ただの客なら気絶させるだけだが、マフィアの構成員ならば容赦なく殺す。その方法も、ナイフで一突きから、倒して顔面をグチャッと踏み潰すものまで、様々である。

ゲームプレイの合間には、時折ドキュメンタリータッチのシーンが挿入される。
クレイの理解者 ジェームズ神父
ただし報復には反対する
「一夜限り!」「アダルト・オンリー」
「ミス・ドロシーのジャングルの女王」「エキゾチック」
「ホット」「セクシー」
「もう一度。一夜限りです! ドゥーシェットにて!」
「この暴虐的な美しさは、誰も見たことがない!」(かな?)
「(なんとか)彼女の黒檀の肌! 彼女のバストに注目してなんたら!」

クレイは、ファミリーから奪取したヤクや利権ビジネスを、部下の三人に任せる。ゲームプレイとの関連であるが、誰に任すかで銃弾の携行数を増やしたり、警官に犯罪を見てみぬふりをさせ、自動車を盗んでもパトカーに追われなかったりできる。

ニューボルドーの警官にはファミリーの息がかかっている。また、今作にはファストトラベルが存在しないので、どうしても自動車を運転し(南部の空気を感じながら)目的地に向かわねばならない。

これもまた、ハードボイルドに複雑なトリックが使われない理由とも似ているだろう。読者がトリックの解明に頭をひねっていては、雰囲気を感じるどころではないからだ。

移動のためにクレイは車を盗むが、目撃者がいたとしても公衆電話に到着するまでに気絶させられれば、お咎めはない。また、殺人を目撃されても同様である。たとえば、車の運転に手間取って、横断歩道を歩く一般市民を轢いてしまったとしても、この方法は通用する。(あと、道路の合流ってほんとに難しいですね)。

クレイの部下となる三名は、ハイチの呪術ショップを営むカサンドラ、酒飲みアイリッシュのバーク(えぇ……)、どうやら全作Mafia IIの主役らしいヴィトである。未プレイ。

彼らはアメリカ人らしく、他の人間にビジネスを任せたりすると、露骨に不平不満を口にしてくる。そこを、復讐鬼クレイは押さえつけたりする。

クレイが、ファミリーのボスであるサル・マルカーノの顔面を踏みつけ、そのXXXXにお灸を据えてやれる日は来るのか!? 全てはプレイヤーのエイミングの腕次第だ!(つづく)

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