脳を騙すジュース・天地がひっくり返るジュース(食レポ)

「本当」と人は言う。「本当の味」と、私たちは言う。食べたこともないのに、他人の舌と他人の脳をもって表現された☆を鵜呑みにし、飲食店に向かい、こんなもんかと思ったり、裏切られたりし、想像を膨らませすぎた後悔をする。

視覚は、水晶体を動かす筋肉の弾力性により良くなったり悪くなったりするし、男女によっても異なる。女性のほうが、鮮やかに見えているのだという。でも、女性は男性の視覚を味わえないし、逆もまた然りだ。

ましてや、目で見ているというより、目を透かして脳で見ているといえるし、個々人の脳が隔たっているならば、同じ物体はあれど、同じ像など一つとしてないといえる。

とある実験で、科学者は天地が逆になって見えるメガネをかけて生活していた。ご存知のように、水晶体を通して網膜に写った像は、逆さまになっている。我々の脳は、最初から映像を反転させているのだ。そして、科学者には何が起こったか?

ある日突然、逆転して目に届いていたはずの景色が、正常に見えるようになったのだ。脳が適応したのである。

果たして、本当とは?

これまで、多種多様なジュースを口にしてきた。果汁100パーセントでなければ「ジュース」という商品名の表記にしてはいけないし、果実の断面を表示してもいけないことになっている。つまり、それらさえ揃っていれば、それは100パーセント、正真正銘のジュースということになる。

で、私は飲んだのだった。下記を。
果糖ブドウ液糖に、私は長らく騙されていたのかもしれない。これは栄養表示に「ストレート」とあるので、濃縮したりはしていない。

飲んでみて、普段コンビニやスーパーで買って飲むジュースとの違和感に気づいた。普段のやつは、甘味がトゲトゲしている……「甘いでしょ? ね?」と、言われているような味だった。

しかし、写真のジュースのほうは甘味がまろみを帯びていて、声高に主張していない。というか、食通かソムリエみたいな表現になってしまっているので、やっぱり百聞は一見にしかずだな、と感じている。

言葉を弄すれば弄するほど、真実や本当から遠のいていく。スティーヴン・キングだったか「自分の脳にあるものを、言葉を使って他人の脳に移植すること」だと言っていたが、やればやるほどドツボにはまっていくようだ。

空の瓶でわかるように、あっという間に家族みんなで干してしまった。それでも、自分の脳だけにある美味しさに代わりはなく、伝えられているかどうかは疑わしい。伝われ伝われ(オチ)。

ぐらいですね。

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