私は効率厨 常にベストエフォートを求む
時間の奪い合いとなっているエンタメ市場において、自分で制御する部分があるビデオゲームの「効率」の文字は魔物である。あたかも、テレビ番組の倍速視聴であるかのように。
協力、競争の要素があるMMOになると、さらに効率の突き詰め欲は激しくなる。一部で「効率厨」(効率のみを追求するプレイスタイル)という言葉が批判的に使われるゆえんである。
筆者がプレイしているMMO、ドラゴンクエスト10でも一応、効率を求めるプレイをすることは可能だ。というより、運営が公式に「最高効率です」と認めるプレイが存在する。
ドラクエ10には特訓ポイントというものが存在しており、レベルを最大まで上げたキャラをさらに強くすることができる。ただ、必須というわけではない。レベルアップによる恩恵は主にステータス上昇であるが、特訓でもらえるのはスキルポイントであり、レベル最大の時点で足りている場合が多い。
興味本位で、運営の言う「最高効率」に対抗すべく調査を行った。狩ったモンスターは、もらえる特訓ポイントが5のくさったしたい・強である。これより上だと、メタル系になってしまう。
しのどれい・強も出る。総じて光属性に弱いので、光攻撃を得意とするスライムナイトを仲間に加えた。一戦で得られる特訓Pは15程度で、1バトルにかかった時間は旅芸人がデュアルブレイカーで戦闘を終わらせる程度である。数十秒といったところか。
その上で、10分間特訓ポイントが倍もらえる「特訓元気玉」を使い、どれくらいポイントが得られるか計測した。
「最高効率」のヴァリーブートキャンプでは、3分30秒の制限時間いっぱいまで粘れば210P得られる。1秒あたりもらえるポイントは210/210で1Pである。
特訓元気玉を使ったフィールド狩りは、10分=600秒で688Pなので688/600=1.14Pであった。しかしながら、エンカウント運に左右されるし、しかもこれは元気玉の使用=ブーストがかかった状態であり、やはりヴァリーブートキャンプにはかなわないとみるべきだろう。効率2倍になっているので、1.14/2=0.57が、一分間に得られるポイント効率になる。
ただし、ヴァリーブートキャンプは単調だという短所がある。普通のバトルならコマンド選択などの程よい忙しさがあるものの、ブートキャンプでは放置が可能なのだ。3分30秒を放置……私たちは、何のためにゲームをやっているのだろう?
冒頭の話題に戻る。特訓ポイント稼ぎは、もう他にやることもなくなった上で、あえて挑戦するようなコンテンツだ。稼いでもステータスに直接の影響はないのだから。
それでも、運営は「最高効率」と謳うコンテンツを用意した。あたかも、馬の目の前にニンジンをぶら下げるか、鞭でも入れるように。
そして、ヴァリーブートキャンプを本当に最高効率にするのならば、システム上に存在する以外の労力を省くべきであり、それは放置プレイに繋がる。
私たちは何のためにゲームをやっているのか。交流? 成長の快感? 実績を得るため? 放置のための放置? ゲームとは?
ドラゴンクエストの生みの親、堀井雄二は言った。「人生はRPG」。
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